本格的な冬がやってきました。こちら日本海では時化で出船が出来ない日も続きますが、こんな時期こそ普段の釣行準備を。ということで、今回は私が主に近海で使用する際のアシストフックの自作方法を紹介します。
今回自作するアシストフックは近海用ということですが、その強度は極めて強靱、ふとした大物でも安心して使用できます。準備する道具は、以下のものです。
上記の材料について、対象魚によってその強度は前後します。今回は、10kg程度の青物を想定しています。ちなみにおすすめのフックとしては、写真例でも使っているシャウトのダブルバーブフック、またデコイのパイク等です。ジギングでは管付きフックが一般的ですが、軽量で魚の吸い込みも良いことから、私はほとんどフラットアイのものを使っています。強度も、以下の自作方法であれば全く問題ありません。
重量のある管付きフックは、キャスティングのプラグ用アシストフック作りの際に活躍しますので、またその折にご紹介します。
まず、10cm程に切ったアシストラインから、その中の芯材を抜き取ります。そして、中心に折り目を入れて、真ん中の位置を確認しておきます。続いて、ニードルを芯材を抜いたラインの片方から内部へ挿入し、中心の折り目から1cmほど手前でその先端を外へ出します。
そして、先端の金具で他方の先端を捕まえてから、引き抜きます。なお引き抜く際に、ライン同士が詰まって難しい場合は、ニードルの柄を少し左右に回転させながら行うと、スムーズに引き抜くことができます。またこの時に、プレスリングを通してから、チワワ形状を作らずに一体化させる方法もあります。これはダブルフックにする際に行いますが、シングルフックの場合は強度が落ちる怖れがあるので、今回はチワワ形状を経由してプレスリングと接続します。
内部から引き抜き終わったら、アシストラインの構造は内側と外側の二重構造となっています。緩んでいる外側を伸ばし、内側の長さと揃えます。この時、プレスリングに通す際にはチワワ形状で結びつけますので、その大きさをプレスリングの外形を通過できるものにします。形を整えたら、ラインの先をライターで少し炙り、外側と内側の先端を軽い団子状にします。
続いて、爪を使ってラインをよく伸ばし、フラットな面を作ってから、先端から1cmほどのところでフックを貫通させます。貫通させた後は、道糸側が針先側へ、先端がフック背面へと来るように回転させてください。またこの時、チワワ形状に対して平行に刺すか、垂直に刺すかで、完成したときのジグに対するフック角度が異なります。写真では垂直に刺していますので、実釣時のフック角度はジグに対しても垂直に立った状態になります。このフックのジグに対する角度ですが、根掛かりの多いフィールドでは平行なものを使用する、魚の喰いが悪いときには垂直なものを使用するといったことで使い分けができます。
フラットアイの根本部分からPEライン(0.6号)を巻いていきます。このPEラインは、鯛ラバやエギングで使用しなくなったものを再利用しています。巻き付けには、針をバイスで固定すると容易に美しく巻き付けることができますが、なくても構いません。ただし、手で巻き付ける際には怪我に注意してください。加えて、できるだけ強く、特に巻き初めの根本部分はしっかりと力を入れて巻き付けましょう。
巻き付けがアシストラインの端まで到達したら、今度は折り返して二重に巻き付けていきます。そして、再びアイの根本まで来たら、最後に数回重ねて巻き込み、仮結びをして余分なラインを切除します。
続いて、瞬間接着剤で固定します。これは、ライン同士の摩擦を増やし、強度を上げるために行います。ただし、付けすぎると乾燥が遅れるので、軽くティッシュ等で拭き取りながら、均一に薄く塗布します。また、アシストラインには接着剤が付かないように注意しましょう(オレンジ色のPEライン部分のみ塗布)。これは横方向の強度が落ちる恐れがあるので、十分に注意してください(アシストラインを折り曲げると、塗布された部分の繊維が割れる等)。
接着剤の乾燥が完了すると、いよいよ仕上げに入ります。アシストラインと同じくらいの長さに切断した熱収縮チューブを、まず針先へと通します。
続いて、プレスリングをチワワ形状に通して折り返します。この時、針先を上にした状態でアシストラインのチワワが上から押さえ付けられるようにしてください。その理由としては、フッキング後の魚皮に対する喰い込みの様子にあります。フラットアイも管付きも、ラインからの張力が加わることで、アイが支点となってテコの原理が働き、フックが喰い込んでいきます。この時、張力が加わる角度をできるだけ外側から与えることで、魚へのフック先端の喰い込みがより強靱になります。つまりプレスリングの位置を、フックの根本から伸びるライン上の外側へ置いてやることで、テコの原理を最大限に発揮させようということです。
あとは、熱収縮チューブを適切な位置へと戻し、ライターの炎で炙ってやります。この時の注意点としては、ライターの炎の蒼い部分(低温部)で炙るようにしてください。オレンジ色の炎部分は温度が高すぎるため、熱収縮チューブを焦がしてしまう怖れがあります。煤も付きやすく、完成後の姿が美しくありません。炙る際は、できるだけライターに近づけて、炎の根本で炙ってください。以上で、完成です。
なお、熱収縮チューブが長すぎるように見えるかもしれませんが、プレスリングを半分ほど覆う長さにします。これはかなりガチガチの状態になるので、一見魚の吸い込みが悪くなるように思えます。しかし、私の実釣による範囲では魚の吸い込みへの影響はほとんどありません。むしろ、ジグへのフックの絡み付きが皆無となるので、結果として釣果は伸びます。
また、プレスリングを半分ほどチューブで覆うというポイントも、プレスリングが固定されることでフックの遊びが少なくなり、水中でのフック位置がより明確にイメージできます。それは根掛かりを避けたり、バイトの様子が検証しやすくなるという恩恵までもたらしてくれます。加えて、結び目の劣化も防御でき、全体としての強度が上がります。
もちろん、アシストラインや熱収縮チューブの長さ、プレスリングの角度一つで無限にカスタマイズすることができます。どの方法が一番良いのか、自分なりに探してみることもまた楽しみでしょう。出会う魚それぞれにおいて、少しでも「自作」というタックルを仲介していたならば、その素晴らしさは何ものにも代えられません。
この冬、様々なパターンのアシストフックを自分なりに作成し、シーズンで試してみる。そのようなことも大きな喜びとなりますので、是非皆さんもいかがでしょうか。